クライアントはジャムやジュースなどの農産加工品を製造・販売するノースファームストック。

「北海道のおいしいものを蔵出しで」というコンセプトのもと、産地や生産者とつながり良質な素材で手づくりされる商品イメージを反映すべく、設計にも「風景とつながる」「素材を活かす」「手間をかける」ことを心がけた。

 増築スペースは三角形プランとし、アプローチを強調した。外壁は、工場の白壁に映える道産カラマツ材。９坪と小さいながらもテラスと庭を設け、近隣の畑やポプラ並木の風景になじませた。

 店内は建物の柱を兼ねた壁面展示棚、耐震壁となる黒く塗装されたお菓子ブース、中央の鉄柱は3段の丸いディスプレイとするなど、柱の存在感を消し、商品イメージに合う軽やかで洗練された空間とした。

 豪雪地帯岩見沢の積雪に耐える積層させた格子梁は、現場で大工がひとつずつ隙間を空け８段に組み上げた。伝統的な日本建築の風情を漂わせながら、自然素材を手づくりでという企業姿勢を表している。